アドレナリン・ドライブ(1999)
監督 矢口史靖
出演 石田ひかり、安藤政信、ジョビジョバ、角替和枝、真野きりな、徳井優、上田耕一


 だいたい想像できるストーリーで、展開も見える。面白いのだけど、この手はこれまでだな、と思う。私としてはまったく先が読めない展開、あっと驚く出来事が続くのが好きだから、少々物足りない。だけど、こういう娯楽に徹した作品は、かえって自分から枷をはめてしまって、自由な作りにならないのではないか。それでも、ストーリーさえ分からない、ひどい作品がある中、こういう自分のコンセプトのある作品も貴重と言える。細かいところの隅をつつけば、いろいろとぼろも出るだろうが、それを言っては始まらない。単純に楽しみながら見ればいい。
 ひとつ言いたいことは、主演の石田ひかりの魅力のなさだ。私の好きな西田尚美と比べるからよけいそう思うのだ。それに役柄からして、飛び跳ねることの出来る尚美ちゃんの方が断然いい。
 突然、大金が目の前に出現したらどうする。その金が思い掛けないことに手に入ったら、その金が、括弧付きながら「だれのものでもない」ようなものだとしたら、これは確保するしかない。どんな人間でも、こんな状況にでくわしたら、きっと同じようなことをすると思う。人間の欲望のかなりの部分は金だもの。物欲は金で買える。でも、誰にもこんなチャンスがくるはずもなく、ただただ映画で、ひとときの楽しみを味わうのみ。ああ、金が欲しいなあ。あんな金が。せめて宝くじが当たればいいかな、と思うくらいが関の山でした。

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