ここんとこ、香港や台湾の映画を見るようにしている。中国映画は今までずいぶん見てきたけど、新しい感覚の台湾のものもどんなものだろうか、と注目していたのだ。中国だからといって、世界的にみて古い感覚で映画を作っているわけではなく、むしろ映画としてはまったく劣っていないことは見て知っていた。だけど、この映画のような感覚のもあるとは、迂闊だった。そうそう、「恋する惑星」があった。早く言えばあんな感じ。とても新しいような語り口である。だけど、新しいからいい、とは言えない。映画の表現法が新しく新鮮で、目を見張るものがあって、これは新しい、というのはいい。これは例えば、キアロスタミ。だけど、いくら普通人はこんな無駄な動きをしているからといって、映画でだらだらとただ長回しされてもだれるだけだ。それを新しい、というのなら否定はしないが、好きではない。新しさの中身が大切なのだ。
　若い男二人、それに絡む女性一人。彼女は不動産の会社の社員、営業をしている。その営業の売り物のビルの一室で繰り広げられる意味のない話。彼ら三人が、何だか勝手にやってきて勝手な行動をとる。これを現代の都市に例えて、とかいうつもりなら何らかの意味を見出さないでもないが、そんなつもりはない様子。
　もうこれ以上この映画について考えるのいやになった。だから、このへんで。