恋愛映画はよくあるし、フランス映画ではくっついたり離れたり、ばっかりといっても良いくらいなのだが、それでいていつも面白く見られていたものが、この映画の三角関係には辟易としてしまった。「ポンヌフの恋人」×1.5くらい、見ていて嫌になってしまった。それはひとえに、主役の女性の優柔不断さと、それに二人の男の好みの悪さに起因する。彼女が私の好みでない、ということもあるがそれより彼女を上手く活かし切れていない監督の責任ではないか。あからさまな台詞もいやだな。行動が少し位突出していても構わない。むしろ小気味よいくらいな方が良い。映画で道徳教育されようとは思わないが、もう少しモラルがあっても良いのではないか。
　恋愛即、セックスみたいなのも嫌だし、男と女が獲物を争うように傷つけ合うのは恋愛という良い感情の発露にはならないと思う。恋愛の感情を発展させるのは簡単だけど、誰でもいつでもどこでもいくらでも、となると動物的で原始的な本能の行動だけのようで、恋愛遊戯でさえない。両天秤をかけることが、本当にそのどちらに重きを置いたら良いのか分からない場合には許されると思うが、それをあからさまに選んでもらうのを試すようなやり方は感心しない。これをやってくれたら、こうしてくれたら、認めましょう、みたいなのは他力本願の最たるもので、決してやってはいけないことのように思う。少なくとも、この映画での彼女の行動は私を納得させてくれるものではなかった。