アメリカ映画によくあるタイプの話だが、それがとてつもなく極端で、そこが又いい。どこがどう極端かと言えないくらい始めから終わりまでの全てがとんでもない話になっている。まず主人公は養子で、実の親に会おうと親探しの旅に出る。育ての親の応援もある。妻、子供、養子協会の係官も同行。係りの人の手違いから始めに会った人が実の親ではなかった。単なる勘違いなのだが、ああ間違いでした、で済むことではないが、気を取り直して、次へ。前の反省に立って、連絡もせず、突然訪れる。これが間違いの元。こうして、次から次へと勘違い、間違い、思い違い、人違いの繰り返し。実際にはこうも連続して起こることではないとは思うものの、単発でなら誰にもあること。映画だから、こんなことがあってもいい。
　それにしても、アメリカはいろんな問題を作り、いまだに抱えている。それを一つにまとめたらどうなるか、がこの映画になっている。真剣に討議するもいい、するどく追求するもいい、だけど対象があまりにも多すぎてこうして笑っちゃうしかないのか。だからきっとこれを作った人たちは半ばやけになって物語をまとめたと思う。
　アメリカの正義はどこへいった。アメリカの自由はどこにある。アメリカはアメリカであり続けるのか。偉大なアメリカを標榜する政府の意図に反して、アメリカはすでに崩壊している。その論点は無数にあり、簡単に言えばこの映画に現れていることがそうだ。大統領も「インディペンデンス・デイ」なんかを見ずに、これを見ればいい。