小説は未読だが、読むつもり。映画はきっと本のダイジェスト版だろうと思う。そのわりには手際よくまとめられていて、分かりやすい。ただ、英語でしかもアンナがソフィー・マルソーというのはどうもなじめない。こういうのは雰囲気ものだから、感じが違うというしかないが、相当なマイナスとなる。もっとも、今ロシアではこういう映画は作らないだろうから、仕方ないか。それにしても、ソフィーとはね。目の回りに隈があって、たぬきみたい。相手役のウロンスキーもごつい顔で、好きになれない。なにも私が彼を好きになる必要はないのだけれど、映画は主人公次第の部分が大きいからね。
　一目惚れをしてしまうのは、仕方のないこと。誰にでもあることだし、それ以降、発展するかどうかは、別な話。ただ、アンナはすでに結婚していたことが問題だった。これはいつの時代でも起こりうることで、明快な解決策はない。この時代は約100年前だから、離婚も簡単にするものではなかっただろうし、ましてや不倫はいけないことだった。夫のカレーニンはかなり鷹揚な人物といえるだろう。アンナのわがままをほとんどそのまま許したのだから、子供を渡さないということを除けば。
　彼女の思いがほとんど叶い、ウロンスキーと一緒にイタリアに逃避行したのに、そのあたりから、相手の心変わりが始まる。全てのことがいつまでも思い通りに続くものではない。「そら、みたことか」とでも言われそうなことだ。自分の決めた道筋がはずれてしまって、元の鞘に戻るのが最良のことだと思うのに、そうはしなかった。残念だね。