「メトロポリタン」をどのくらいの人が見ただろうか。後楽園シネマでしかやらなかったし、その後もどこかでやっていた様子はない。この映画も前作と同じような運命をたどりそうな気配だ。面白いんだけどなあ、見れば。
　舞台こそスペインのバルセロナだが、まったくのアメリカだ。では、何がスペインなのか、というと二人の青年以外がスペイン人である、ということ。バルセロナのアメリカ人が、いかに異国にいてもアメリカ人であったか、を描いている。前作もそうだったが、同じアメリカでもハイグレードなアメリカ、とでもいう独特の世界があることを見せてくれる。同じ人間なのだから、彼はどこへ行っても「独特のアメリカ人」であり続ける。そこが、好き嫌いの分かれるところだろう。いとこ同士の青年、一人はスペイン在住の会社員で、もう一人は海軍の軍人。この二人は仲が良いのか悪いのか分からない。仲が良すぎて喧嘩している、みたいな感じか。性格が正反対くらい違う。一般人と軍人、というバックグラウンドにも、二人の印象をさらに離れさせる要因がある。又、かたやスペインを良く知った人間、新入りは良く知らないから、強引だ。知らない強みを発揮する。それがつまりアメリカ人の、アメリカの全てに対する強引なやり口を代表させているようで面白い。
　アメリカは広いから全体で見渡すと「田舎」と言える。が、ある部分ではこのようにとても洗練されたヨーロッパが残っている。それはかなりマイナーな部分ではあるが重要なパートではある。実際にそれを認識しているアメリカ人はそう多くはないだろう。大部分が粗暴な南部人丸だしなのだから。（これは私の無知から来る偏見？）でも、当たらずと言え遠からず。この映画は当のアメリカ人でもつかんでいないある部分のアメリカ及びアメリカ人を描いていて興味深い。これは監督の個性なのだろう。