スティーブ・マーティンは初めて見たけれど、達者な人のようですね。親が子供に教えられること、伝えられることは自分自身の生き方を示すことでしかないように思う。もちろん、自分を超えて大きくなってほしいと思ったり、過大なことを要求することもある。でも、結局は、この子は親の子だ。蛙の子は蛙だと思い直す時が来る。
　私がこの映画に特に引かれるところがあるのは、私が親だからだろう。子供を持ち、子供が思うようにならなくなる時、悩みもする、こんなことでいいのかと思う。でも、それでいいのだと納得するようになる。これは決して諦めではなく、物事をきちんと認めることに他ならない。だから、子供がひ弱で、自信を持ってないようなら、なんとかして、自信をつけてやろうと懸命になる。野球のチームのクズとされている子に自信をつけさせることは、野球でつけさせるしかない。高く上がったボールをキャッチしたことが彼に自信をつけさせた。それはごく些細なことではあるが、小さな一歩は大きなものにつながっている。
　親が子供に対して、何かやってあげることが出来るかといえば、励ますことだと思う。上手くなくても、上手い良くできたと言ってやって誉めること、これが大事だ。自信が着いてくるとどういうわけか、ことは上手く運んでいくようになる。出来る、と思うこと、これにつきる。　不安定な状態にいる時に彼を救えるのも親だけれど、下手に手を貸したことによってかえって駄目にすることもある。トム・ハルスのやった息子のような人物には、親はどうすればいいだろう。見捨てることは忍びなくても、金をやればよけい深みにはめてしまう。子供とはいっても、大人になってからの息子には、結局何もしないのがいいのか。大人になった子供は、その時するのは、親に何かを返して行くことじゃないだろうか。