中国は悠長なことをするものだ。戦国の世、攻め込む側は敵国の村に入り、そこにいる子供を連れ去る。その子供を連れてきて、育て自国の戦士にするのだ。これはちょうど将棋のようだ。中国には将棋はあるのだろうか、案外なことをするものだ。実際にこういう事実はたぶんあったのだろう。
　初めのうちは友好的に近づき歓待を受けたりする。そのうちある時がくると、突然豹変する。子供を穫られることに最も抵抗するのは母親だ。この映画の中の村では、このことは知られていなかったようだ。仲良く、あるいは卑屈な態度でもてなしていたのに、次にきた不幸は受け入れるしかなかった。山賊のような男たちと争うことも出来ない。戦争中のためか、若者もいないようす。だから彼らのなすがままに20人もの子供が連れ去られてしまう。西夏までは遠い。一人の母親が狂ったように追いかけてくる。いくら追い払ってもついてくる。まさか殺すわけにはいかない。そのうちあきらめるかするだろう、と思っていた。西夏までどのくらい離れているのか知らないが、相当な距離を母親の愛情、執念が勝った。残酷で、冷酷な隊長も折れた。あの母親に子供を返そうとする。最後の最後に、ほっとした。