ベルエポック（Belle Epoque）1992

監督　フェルナンド・トルエバ 出演　ホルヘ・サンス、ミリアム・ディアス・アロカ、アリナドナ・ヒル、マリベル・ベルドゥー、ペネローペ・クルス、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、マリ・カルメン・ラミレス、ミシェル・ガラブリュ

　1931年、スペイン、内乱。内乱は困る。なぜならどちらについていいかわからないからだ。別な国との戦争なら、一応自国を応援しておけば間違いない。だが、国内に二分された意見の衝突があり、どちらかに与しないわけにゆかない、としたら、どうしたらいいだろう。どちらか勢いのいいほうにさしあたりついていって形成不利となったら蔵替えする、とこんなのが賢いいきかたになる。庶民はそうでもいいだろうが、軍人とか役人とかはそうもゆかない。現に、この映画の冒頭、二人の男の哀れな最後は喜劇的に描かれているからよけいかなしい。あの二人の親子も内戦がなければ、そして取締の役目でなければ無駄死にをすることもなかったのに。変なことから命拾いをした幸運な男は、恐ろしいまでに強運を持っていた。夜になって一夜の宿を探していたところ、知り合ったじいさんの家に泊めてもらうことになった。そして翌日、ご飯を食べてさようなら、ならこの話はそれでおしまいになるところだが、強運というのは乗って帰ろうとした汽車に四人の若い女性が降りてきて、しかもあのじいさんと関係のある様子。このまま汽車に乗るようじゃスペイン人ではありません。もちろん日本人でもありません。男ならどんな堅物でもそうするでしょう。でもって、じいさんの家にとって帰ってみると、いるいる四人姉妹が。その上都合のいいことに彼がとてもよい青年で誰からも好かれるたちなので、たちまち皆から注目の的になってしまう。こんな経験したことないから、羨ましいったらありゃしない。この映画がアカデミー賞に選ばれたのはきっとそう思った男性会員の投票による力が大きかったのではないか。もてもての若者、結局は虻蜂とらずっていうのか、飛んで火にいる何とやら、でこのうちの一人と結婚することになる。でも、それまでに起こったいろいろなことから争いは起こらないかと心配になる。きっと一悶着あるにちがいない。