フランスで映画百年記念で誰が監督すればいいか、というとアニエス・バルダになるのか。フランスの監督はそれぞれが特徴があって、こういういわば公式なものを撮るとなると、適切な人はいない。その中であえてあげれば彼女になるのだろう。とはいえ、彼女もなかなかの人だ。今回、この映画に伴って昔の「幸福」その他が上映されている。あ、そうそう100周年記念映画に最適な監督はジャック・ドゥミがいい。ということは正解か。
　映画で映画を描くことはときどきある。作る人は映画の専門家だけど、観客はそうではない。だから、凝った作りにはしたくても出来ない。まあ、偉そうに言うわけではないが、私なんか位映画に詳しいと、どんな映画が出てきても対処出来るからいいけれど、ちんぷんかんぷんの人もいるだろう。わざわざ映画館に足を運んだくらいの人はそういうことはないか。そういう私も案外有名どころを見逃しているからね。テレビやビデオで見るようにすれば、そういうことも解決するのだろうが、それは苦手だ。最近は昔の名画をやるようになったから見ることが出来るようになったからいいものの、それでも主要なのしかやらないものね。全てを見ることは不可能なのだから、無理することはない。家だと本を読むこともしないし、ましてテレビで映画を見るなんてしんどいことはする気になれない。
　この映画がマルチェロ・マストロヤンニの遺作かどうか分からないが、元気な顔を出している。彼はまったくの映画人で、イタリア映画だけでなく、フランス映画、ギリシャ映画、アメリカ映画まで出演している。
　映画の歴史をなぞるのではなく、現在生きている映画関係者を讃えるかのような作り方だ。今いない人を誉め称えても仕方ないし、また意外なことに日本で人気も監督のものが取り上げられていないし、同じフランス映画でも捉え方は異なるようだ。ドキュメンタリーならそれこそテレビかなんかで大雑把に作ればいいのであって、映画なら映画らしく作ればいい。この映画が成功作かどうかは別として、作られ方はこれでいい。