目も当てられない程、どうしようもない映画ではないが、かと言って、良かったかと、聞かれたら、まあまあ、と答えるしかない、そんな映画だ。出演者が感じの良くない人ばかりで、しかも犯罪を恥ずかしげもなく肯定しているし、あの三人の家族も取って付けたような家族愛で結ばれていて、いかにも作り物めいていて嫌な感じだった。そう、この前見た「シンプル・メン」の対岸に位置するような映画と言えば分かりやすいかな。
　犯罪はその全てが悪であると断罪しうるものではないが、銀行強盗は明かに犯罪の王者と言っても言いくらいのものだ。それを親子で繰り返すなんてのは、一体何考えてんだ、って聞きたい。あの親子にまともな神経があるとは考えられないし、どういう意図でこの映画を作ったのか、作者に聞いてみたい。これを見る限りでは、強盗は容易に成功するように思えちゃうし、やってみようかと、考えるバカものも出てくるかも知れない。何もかもがうまく行き、失敗のない人生に家族中で酔ったまま、彼らはどうなってゆくのだろう。一人正常にみえる母親も結局は彼らの蟻地獄にはまってしまうのだから、どこまで行っても救われない人たちなのですね。