未来の世界のパターンはほぼ決まっている。たいていが悲観的なもの。というのは今の世界の延長上として考えるとどうしても悪い方向にならざるを得ないからだ。私はそれより悪く考えている。どんな未来であっても存在するのであればオーケー。人類は自滅するしかないと思っている。地球は失敗作を作ってしまった。人間という生物は滅びても生命が残る限り別な形でまた文明を持つ生物が出てくるだろうから、悲観することはない。
　この映画の未来は昔からある未来像、超高層ビルの谷間を飛ぶ車が走る。今の道路が空中に移ったようなもの。二次元の道でさえ事故が耐えないのに、三次元的道路では三乗で事故の件数が増えるのではないか。接触しないような工夫がこらされるだろうが。主人公はタクシーの運転手。彼が事件に巻き込まれる。映画は巻き込まれ式なのが多い。ただ、この話が未来だというのを幸いに遣りたい放題。宇宙人から来た生物が人間の形になって出てくる。言葉も宇宙語。いかにもそれらしいのがいい。なんでもあり、というのは一見よさそうに思えて、そうでもない。何を出しても不思議に思われないものだから、より奇抜なものへといってしまう。制約はあった方がいい。予算も相当つかっているみたいだし、それがはたして生きた使い方になっただろうか。疑問だ。
　物語が飛んでしまって、はかないものとなっている。それでも、変な教訓めいたものがないのはいさぎよいけどね。