不滅の恋(Immortal beloved)1994
監督 バーナード・ローズ
出演 ゲイリー・オールドマン、イザベラ・ロッセリーニ、ジェローン・クラッペ、ヴァレリア・ゴリノ

 この映画の種明かしが真実かどうかは分からないが、ずいぶん興味を引く話ではある。ベートーベンが甥のカールに執着したことは知っていたが、こんな理由なら納得できる。事実はどうだったのだろう。表向きの事由通りなのか、はたまた隠された秘密の方なのか、実の子であれば、あれだけのこだわりも分かろうと言うものだ。ただ、そうすると弟の妻=自分の妻=カールの母となり、弟の死んだ後なら、あれだけ無理強いしなくても、元の鞘に収まればいいのだから、困難な裁判に持ち込むことはなかったのに、とも思う。
 今までも一応彼の事は知っていたのだが、映像の力は強い、今までよりもさらに強く彼自身と彼の音楽に惹かれる気がする。芸術作品はただ単に作品だけでは成立しない。絵画を前にすることは出来るし、音楽を聞くこともできる。だが、それを創造した人のことを良く知ることで一層作品に力が込められると思う。実際にこの映画を見たことで、いままでよりずっとベートーベンが身近に感じられた。それには特別に似せようとはしていないのにもかかわらず、迫真の演技により、ベートーベンになっているゲーリー・オールドマンの力が大きい。どちらかと言えば好きでないタイプの俳優であったが、この映画を見て気持ちが変わった。デ・ニーロほどやり過ぎでないのはいい。それでも一番の功績はやはりベートーベンの音楽そのものだろう。

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