こういう映画は、私の考える映画の最高峰である「雨月物語」と比較してしまう。となると、どんなに強力な作品でも溝口健二に勝るはずがない。と突き放してしまっては終わりなので、それはよして、この作品の全体像を見てみよう。というのは、彼がだまされた事柄全体が妖術なのか、それとも、ある部分、真実なのか。結論から言えば、はっきりしているのだが、映画を見ている段階では、「あれっ、どこまでが幻想で、誰が幽霊なのか、がつっかえつっかえ分かってきて、さらにそれを修正しつつ、最後に、全てがまぼろしだったことを知る。結局そのスイッチバックが見る興味を失わせる要因になっている。ある時点で（一家の墓を発見する）で全ての仕組みが分かるのだが、それでもなおしつこく現れてくる幽霊たち。また、そこにたどりつくまでが長すぎるのと、だらだらかげんが良くない。これは、あの博士にぜひとも研究して欲しい題材だ。