TGVの車内で向かい合わせになった男二人が、なんとなく話し始める。二人ともビジネスマン風。一人はおしゃべりで、自分のことばかり話している。この人（フランソワ）には自慢することがある。それは、マッチ棒で作ったエッフェル塔や他の建物だ。写真にして持っていて、あちこちで自慢している様子。話相手にしてみれば迷惑かもしれないが、あっという間にパリに着いたからいい時間つぶしだったかもしれない。話相手というのがある会の会員で（ちゃんとした組織ではないかも）、自分たちの食事会に馬鹿を連れてきて、みんなでいたぶろう、という趣味の悪いことをやっている。彼等に馬鹿と認定された人はいい迷惑で、みかけはどうあれ、そう簡単に他人を馬鹿と認識できるものではないと思う。その「いいカモ」に選ばれたのが、このエッフェル塔の作者、この趣味自体は決して変なものではない。ただ、それを他人に自慢することと、彼の風采、見かけが彼等の狙わんとする人物像に一致したのだろう。そのへんの基準は分からないが、ようするに風変わりな人物を見つけて、ひそかに笑おう、という悪い趣味の持ち主たちなのだ。でも、考えてみれば、そんなことをする方がよっぽど変人ではないかと思う。フランソワを紹介されて、パリの自宅に招いたのはフランソワなる男。彼も会員のようだ。さっそく今夜の晩餐会のおぜん立てをする。まず、初めに友人の選んだ男の品定めから。さてさて、その前にどういうことからか突然のぎっくりごしに歩くことさえできなくなったピエール、今日の会はお流れにしようと思ったが、やってきた男が、非常に優秀な馬鹿かげんにうっとり。だが、腰がこれじゃどうしようもない。さて、これからが本番。おもしろくなる。馬鹿にしようとする相手に結果的にはバカにされている。いい自業自得なのだから仕方ない。内容をどうのこうの言う映画でもない。ただ単純に見ている間、楽しめばいい。バカにさせてもいからもう一度みてみたい。