猛獣とは誰からみて獰猛な獣なのか。一般的に言えば、ライオン、虎などがそうなるが、彼ら自身はそうは思っちゃいまい。生きていくための当然な行動がそう思われることになるだけのこと。人間は猛獣が好きだ。危険が隣合わせなのが結構好きだ。実際に襲われたりすることになるのは嫌なくせして、檻一つ、あるいはガラス一枚へだてていれば、ＯＫ。サファリパークが存在するゆえんだ。
　かたや、動物園存在の危機がささやかれている。特にイギリス。この映画はそのイギリスのつぶれそうな動物園が出てくる。しかも経営はアメリカ人。神経質な程、動物を愛玩するのと同時に残酷な動物ショーみないなのも見てみたい。少しくらいの事故もいとわない。それで、この動物園は猛獣のいる所、として売ろうとする。飼育係は反撥する。動物を愛さないで利用するのは嫌なのだ。では、どんな動物園が理想的なのか。そもそも動物園は動物たちにとって、快適な住まいではないだろう。自然の中で、自然な暮らしをするのがいいに決まっている。人間のエゴを優先させているのだから、どっちもどっちなのかもしれない。
　一応、正義の味方は動物園をもとのままの状態でいたい人たちが、アメリカを代表する強引さに弓を引く。その先頭に立つのが彼の息子だ。顔がそっくりなので、いろいろと画策をして、作戦は成功する。そのため、一人の人間が殺されることになるが、ぜんぜんそのことには構わない。いいなあ、動物虐待より、人間の命を二の次にするのは。実際の世界はそうだもの。一番かまわれていないのが、人間自身だ。他の動物のことを気遣う前にすることが山ほどあることを知れ。