英語がどれだけ有用な道具であるかは先刻承知している。だからずいぶん勉強もしてきたし、少しは話せるようになったのではないかとは思っている。だが、実際に使う機会はまったくなく、したがって本当に真剣にやってきたわけでもない。外国に住むことにでもなれば、これはどうしても話さなくては暮らしていけないから、話せるようになるだろうが、日本にいて話し相手は日本人しかいないのだから、必要ないというわけ。
　そんなこんなで、ずっとずっと昔、英検2級に合格してからたいして上達していないような次第。
　英語が武器になる、仕事に使える、金になる、とこうくりゃ勉強しようじゃないの、と思うのが普通の人間の考えること。それは隣国、中国の人も同じことを思っているようだ。ここに変な、というかとても熱心に英語を教える人がいる。このドキュメントは4日で作ってしまったというから、彼の4日間の行動しか捉えていないということになる。これはちょっと残念なことで、短期間の動きだから、行く場所こそ違え、ほとんど同じやり方で教えるのだから、映画としても単調にならざるを得ない。
　彼の教え方は変わっている。何百人もの人に同じ動作をさせて一緒に発音させる。彼に言わせれば英語には独特なリズムがあって、中国語にはないから体で覚えるのがいいそうだ。だから、思いきり体を使って英語のリズムを覚えていく。どういう感じのものかは、映画を見れば分かるが、言葉で説明するのは難しい。でもcrazy english　というほど奇抜だとは思わない。こういうやり方もあるのか、というくらい。最終的に目的に達すればいいのだから。入り口としては興味深いしおもしろい方法だが、あの後どうなるのだろう。いつまでもラジオ体操のようなかっこうをし続けるわけにもいなかないだろうし。そこを見たい。