こんな小難しい映画が受けるというのは不思議なことだ。セラピストが出てくるのは、アメリカ映画だけなので、きっと神経質な国民なんだろう。すぐに裁判に訴えるのもアメリカだし、変なことろに突出している。マット・デイモンともう一人が脚本を書いている。これを映画化するのは大変だったのじゃないか。書いた当人が演じているだから、文句のいいようはないが。
　この映画の何に私が抵抗があるのか、とつらつらと考えるに、主人公が数学の天才だということだ。頭の良い人にはとてもじゃないが、かなわないし、しかも数学の先生をもしのぐ天才振りには反発を覚える。これは私の劣等感の裏返しだから、この映画の責任ではないのだけれど、映画の評価まで影響させてしまう。
　この映画では頭の良い人間だが、逆に精神障害の人とかもよく映画に出てくる。普通の人は普通だから映画にしても普通だ。普通じゃないところから始まるのが映画だ、とも言える。だって、普通の人の普通の生活を描写してもつまらないだけだ。映画は、普通ではないどろこじゃない。異常な人物が主人公なんてのもざらに出てくる。最近の例を上げれば、「バタフライ・キス」。これ一つで十分でしょう？
　普通じゃない人が、その人なりに悩んで、誰かに相談する。相談された方も十分変わっている。単純な癒しとか、やさしさを見せてくれるわけでもない。誰かにすがって生きることが最善だということか。GOODWILLは彼の名前でもあり、良い意志という意味もある。彼のハンティングとは何か。まわりをうろうろすることは出来るが、それ以上つっこめない。もう一度見ればいいのだろうが、それまでして求める気もない。残念だが、ここまでの映画だということだ。