グリッドロック(Gridlock'd)1998
監督 ヴォンディ・カーティス・ホール
出演 ティム・ロス、トゥーパック・シャクール、タンディ・ニュートン


 アメリカ映画やイギリス映画にはよくドラッグを飲む、あるいは吸引する場面が出てくる。また、よくないからやめようとする人も出てくる。この映画は後者。それも、徹底的にやめたいと願い、すぐにもリハビリにとりかかろうとするが、それがうまくいかないおかしさを描いている。というのも、薬を絶ち、自分のベッドで苦しめばいいものだが、それが出来るようなら苦労はない。意志が弱いからドラッグにのめり込んだのだ、そこから抜け出すのも他力本願というのも情けない。他人の力を当てにしている、具体的にはニューヨーク市に頼ろうとする。真面目に病院に行って直して貰おうと手続きをするのだが、これがお役所仕事というのか、今日行って今日から、というわけにはいかない。これは、急患ならともかく、自分で歩いて行けられる人にすぐさま救いの手なんかのべてくれない。冷静に考えれば、市の言うことももっともなのだが、なにしろそれじゃ間に合わないと、あせっている二人の男なのだ。そもそも、グループのボーカルである女性が薬の飲み過ぎで生死の境をさまよったものだから、決心したわけだ。そりゃあ、人間いのちにかかわるともなれば、好きな酒でも煙草でもドラッグでもよそうとするもの。こんな機会じゃないと、しようとも思わなかっただろう。よく決心した、と誉めてあげたい。
 それで、受け入れ先の問題となる。窓口の男性が突然怒る。お前らは自分勝手すぎると。これは当然だ。そう言われればそうなのだけど、それでもきちんと対応して欲しかった。百に一つの決心が揺らがないうちに受け入れてもらいたいものだ。
 彼らの音楽はなかなかのものだった。詩を歌うのではなく、音楽にのせて叫ぶような感じがGOOD。
 それにしても、身近にドラッグが簡単に手に入る環境があれば、試してみたくなる気持ちも分からないでもない。それでも、私はやらないけど。薬物が不当な手段で入ってきて、暗黒街の手引きで流通し、結局は人間性を滅ぼす作用をする。それを知っていながら、手を出し、やめられなくなる。これは外国のことだから、とばかりは言っていられなくなってきつつある。こわいものだ。

ホームに戻る

インデックスに戻る