これは見て良かったのかどうか、迷うところだ。というのは、話としては悪くないのだが、いかんせん予算不足で、実感が伴わない。なにしろ綿の雲の上をおもちゃの飛行機がゆくのだから。これでは戦前の日本映画かイギリス時代のヒッチコックだ。現代の、しかもアメリカ映画だよ、沈む船の話に何百億ドルもかける国なのに、こういう低予算もあるんだなあ、と半分ほっとした。
　どうしてこの映画を見たかということを記しておかないと忘れてしまうかもしれないので、一言書き添える。NIFTYの映画のフォーラムで誰かが強力に推していたのだ。そのRE で見た人が行って良かった、なんて書かれてあった。これだけ評判がいいのだから、あんがいいいかもしれない、と思った。
　それで、分かったことは、縁の下の力持ちのような、この仕事（管制官）の大変なことだ。あれだけ次から次へとやってくる飛行機をさばいて、じゅんじゅんにランディングさせていくのだから。その上、管制官の責任による事故ってあまり聞いたことがなかったから、うまくやっているのだろう。この映画の主人公は事故を起こして、仕事を辞め、別なことをやっていたのだが、年末の忙しい時期に手助けをたのまれて、手伝うことになった。その仕事を無難にこなしかけた時に、大変な状況になる。
　この映画は「大空港」を別な観点から見ているような話だ。それにしても、大変な仕事というのはたくさんあるものだ。私のやっていた仕事も一言言い違えれば何万円の損というものだったが、人の命にかかわることはなかった。その点、自分を危険にさらす仕事や、この映画のように他人の命を丸抱えしているような仕事もある。大変な心労があるに違いない。また、パイロットなんかはかっこいいし、憧れられる仕事だが、同じ業種なのに、目立たず、しかも苦労の多い仕事だ。整備も大変そうだ。とまあ、楽な仕事はないということ。