ニール・ジョーダンとしてはこれが最高の出来じゃないか。前作のように奇をてらっていないし、しごく真面目に描いていて好感が持てる。イギリス-アイルランド映画というとこの問題ばかりで、少し食傷気味と言えないこともない状態だったが、この映画をまず始めに見ておけばいい。そういう教科書にもなりうる映画だ。といって堅苦しいところはない。ただ、マイケル・コリンズという情熱家の話だ。彼がたまたまアイルランドという困難を抱えた国に生まれたから、そして祖国を大切にしたいと考えたから、リーダーシップを発揮したのは計算してのことではない。彼は英雄ではないが、英雄になるうる素質を備えていた。イギリスからの独立を勝ち得たのだから、成功した戦いであったわけだが、現在も残る問題のすべてに回答をえたわけではない。いわば彼が勝ち得たものは折衷案であり、批判もされ、そのためにＩＲＡというテロ集団へとつながる組織がこの時につくられることになるのだが、いくら正義でもすぐに手にはいるというものでもない。彼が成し遂げ、あるいは成し遂げられなかったゆえに、今に残る悔恨を彼の落ち度というは易い。だが、この映画で見る限り、これで精一杯であり、唯一の選択だったと思う。