身代金(Ransom)1997
監督 ロン・ハワード
出演 メル・ギブソン、ルネ・ルッソ、ゲイリー・シニーズ、デロイ・リンド


 映画は監督で見る。ロン・ハワードはそんな監督の一人だ。歯切れがいい、面白い、毎回違うものを見せてくれる。
 誘拐の映画と言えば「天国と地獄」だ。犯人が地獄にいて、誘拐される側は天国の住人だ。その設定はこの映画でも同じだ。金めあては当然として、プラスαが妬み、恨みとなる。対象がだれであろうと構わないのが誘拐だ。まあ、金持ちに越したことはないけれど。出来れば、警察抜きで事が運べば最高だ。とすると、大金持ちのはした金を狙うに限る。表沙汰になっていない誘拐事件がもしかしたらあるのかもしれない。
 犯人はそれを望み、被害者は誘拐された者の命を最大に尊重する。ここに誘拐犯のねらいがある。命と金を引き換える。営利誘拐はだが、成功することは少ない。それはどうしても犯人と誘拐された者が接触するからだ。そこから足が付く危険がある。だから殺すことになる。ねらいは金だけなのだが、殺人まで犯すことになってしまうところに、誘拐という犯罪のこわさがある。この映画では誘拐された子供は殺されることはなかったが、長時間の監禁と恐怖のため、精神に異常をきたすようになってしまう。誘拐は成功することのほとんどないことは実証ずみなのに、なぜこうも多く発生するのだろうか。

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