ミュート・ウィットネス(Mute Witness)1995
監督 アンソニー・ヒルシュ
出演 マリーナ・スディナ、フェイ・リプリー、イヴァン・リチャーズ、オレグ・ヤンコウスキー


 ミュートというと、しゃべれない人か。唖(おし)の人が聾(つんぼ)とは限らない。物音は聞こえるが、話すことが出来ない人もいる。だが、話さないので、聞こえないようにも思える。また、聞こえないから、しゃべれないという人もいる。この映画の主人公はとにかく声が出ない。身ぶり手ぶりで表現するしかない。しかも彼女の姉にしか手話が通じない。姉の夫がアメリカから映画をとりにロシアに来ていた。どういうわけか、妹がぼんやりしていたなか、そこの撮影所で殺人を目撃してしまう。それを見咎められ、追いかけられることになるが、彼女が身振りしか出来ないことや、声を出して助けを求めることが出来ないことによる次から次へと押し寄せる危機に見ている私がひやひやするようになっている。たぶん、そこの何とも言えないスリルが面白いところなのだろうが、私はいいとは思わなかった。映画のためだけのこうした設定、殺人事件、言葉を発せない人物をいじめるかのような状況は作り話にせよ、気持ちが良くない。話をおもしろくするためなら何をやっても構わないかのようなのはだめだ。
 ロシアの監督が作ったみたいだが、こうまでして自国の悪口を言わなくてもいいだろうに。よほど嫌いなのだろう。こんな映画がいいと思う人もいるんだね。人それぞれとはいうものの、おもしろいものだ。

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