いいなあロメールは。のんびりしちゃうなロメールは。こういう息抜きは必要だ。フランス人の夏休みは日本とは違って長いからこんなに悠長なことが出来る。まず、そこがうらやましい。なにしろ7月の中旬から待っていて、待ち人がなかなか来ないで、暇つぶしにいろんな人とつき合って、目的の人が来た時には、ある成果があがっていて、かち合ったりして、気まずくなったりとかいろいろある。でも話はどうでもいいもので、こんなことをわざわざ映画にすることもないのに、と思うものの、そこがロメール、他の人が作っていたら、きっと目も当てられないものになろうものを、こうもうまく乗せてくれるんだから、やはりいい。いままでの春、冬、夏のうちで最も息を抜いている感じ。それにしても、三人を相手にするより、音楽を選んだのは正解かな。そういう時もある。でも、後悔しそう。
　音楽好きなガスパールがやってきたのはディナールにある友人の家。別荘かも知れない。そこでのんびりと過ごすつもり。恋人を待っている。彼女はスペインに行っていて、そのうち帰ってくることになっている。長い休みなので、曲を作ったり、海に行ったり、と気楽なもの。そこでマルゴと知り合ったり、また別口のソレーヌと親しくなったりするうちに、半分当てにしていなかったレナがやってくる。同じ時間に別な場所に同時に存在することは出来ない。ということは、みんなにいい顔をしていると、みんなにいい顔をすることが出来なくなる。ガスパールはそれをやってしまった。そして、結論は、みんなを振ってしまった。それは、すごい勇気がいることなのに、彼自身はそうは考えない。別なよりよいものを選択したのだから、これでいいのだ、という。真剣に考えてはいそうもないが、とにかく彼の出した結論なのだからそれでいいのかも。