この家族は正に私の理想だ、というのは、前から考えていたことと、映画の中身が一致するからだ。私の理想というのは、男と女というもの、残念ながら平等にはほど遠い状態になっているでしょ。それを正すのは完全平等なんていう、言葉だけはかっこいいけれど、実現までには相当な時間がかかると思う。それでは、どうすればいいのかというと、男性が全面的に引っ込むのだ。女性から家庭の仕事を取ってしまうのだ。男性が女性を手伝うなんていう中途半端なんじゃなくて、完全にとって替わる。とまあ、これこそが実現可能かな？と考えるわけだけど、実際そのくらいしないとだめなんだな。思い切ってそのくらいの荒療治を施さなければならないと思う。
　面白いと思ったのは、子供たちの対応で、戸惑いながらもなんとかやってみよう、というわけで頑張ろうという姿勢が、まず、いい。そうこなくっちゃね。でも、やり始めたら案の定、上手くはいかない。それもそのはず、慣れぬ仕事にあたふたとしたり、分からないことだらけのことばかりで、もたつくばかり。でも、家事なんて、要するに慣れること、に尽きるわけで、やってゆけば、少しづつ出来るようになっていく。物事のかなりのものは、そうである、といっても良いくらいで、とにかく始めてみようよ、という呼びかけが聞こえてくる思いがする。
　私にも覚えがあるけれど、包丁一つとってみても、上手く使うことが出来ない。じゃがいもの皮をむくのでさえ、あの始末。芋をまな板の上に置いて、皮をむけるか？何にでも基本がある。それをまず教えてもらう。そうして、少しづつ慣れて上手くなっていくのです、という我が経験の一環に照らし合わせてみると、ぴったりと合うのです、これが。映画の中に自分を見付けた思いがして、とてもうれしくなってしまったのです。こういう経験はそうあるものじゃない。ましてそれが、私の理想とする家族の話なのだから、ただ一言、素晴らしい！
　では、私達がどのようにして、この人たちのような域に達するか、を考えてみる必要があると思う。まず、意識を革命的に変革しなくちゃいけない。要するに、男女の立場を逆転してみればいいのです。簡単なことではないと言うことは知っている。でもそれがそれほど難しいこととは思えないので、皆ながそうして、成功するといいな。