香港が中国に返還された今は、この映画とは違うことになっているかどうか。地続きでも、地方地方の文化、習慣は異なるし、そう簡単には同化することはないと思う。
　香港人から見ると、大陸の人はいなかっぺ、ということなのだろう、簡単に言えば。香港に来た中国人は出身地を隠し、早く香港人になろうとする。どうやら、香港人から見ると、いろいろな方法で違いが分かるのだそうだ。その逆をいって、香港人になりきろうとする。
　大陸からの列車が香港に着いた。たくさんの人たちが大きな荷物を抱えて降り立つ。ここが憧れの地、香港だ。見るもの、聞くものが目新しい。きょろきょろしてしまう。東京のいなかっぺがいても、数カ月もたつと、東京人になっている。そもそも本物の東京人は少ない。見よう見まね、あるいは格好を真似すればいいのだから、簡単だ。言葉もそう違わないし。さて、香港の事情は異なる。
　姿かたちは似せることは出来ても、しぐさや趣味で分かってしまうのだそうだ。これはこの映画から知ったこと。香港の人なら絶対にしないことや、好まないことがあるという。こういう微妙な問題は当事者でないと分からないことで、それでもこうやって説明されているとなんとなく分かる。とても親切に作られている。中身もアメリカ映画のようにドラマチックではないが、香港からアメリカへとぶ話にも違和感はない。ただ、アメリカでの生活が詳しく分からない。中国本土から香港へ来たように、アメリカへ行ったのか。香港は通過点だったのか。中国人のたくましさが見える。アメリカでの二人の邂逅が、本当の出会いになるかどうか、なにしろアメリカは広いからな。