人生は琴の弦のように（邊走邊唱）1991

監督　チェン・カイコー　 出演　リウ・チョンユアン、ホアン・レイ、シュイ・チン

　人生はこれだ、と手の上に乗せて見せられるものではないし、基本も、お手本もない。気ままに生きればいい。どう生きようともそれぞれの生き方に文句をつける必要はない。じゃ、どうでもいいのか、そんなことについて真剣に考えるなんて無駄なことか。それも必要な人は必要であり、のんきに生きたい人はそうすればいいのだ。
　琴、といっても三味線のような弾き方をするものの、師匠と弟子。二人とも盲人だ。彼らの心に浮かぶ心象風景のような映像が展開する。空も、川の流れも、星も、みな彼らにはぴかぴかと生きている。夢は突拍子もないもの、彼らはずっと夢を見ているようなもの、明るいものはさらに明るく、暗いものはさらに暗く、大きなものはさらに大きい。そのダイナミックな想像の世界が目開きの人間が見ている現実の世界よりどんなに桁違いな大きさを持ってせまってくるものか、この映画はそれを見せてくれる。
　難しいものを何でも哲学的と言ってしまえば良いものでもないだろうが、そういうしかない、私の頭では理解できないことばかりだ。ああ、哲学的。