始めに出てくる一見強そうなのが、後できっと活躍するだろうなあと思わせておいて、実は腰抜けの奴で拍子抜けだ。そんな見かけ倒しの男なんかいなくたって、少年の方がどんなにかたくましく、強いことか。日本式に言えば、少年剣士だね、赤銅鈴之介ってとこかな。彼が、許嫁のいる家に行くと、そこにいるのはおじいさんと許嫁であるちょっと生意気な少女。こういうと、この話、まるで時代劇だね。この映画は西部劇のようだ、と言われているようだけど、日本的過ぎる。「シェーン」くらいの感じかな。
　二つの旗が立っている村に、荒くれものがやってくる。マカロニウェスタンのにおいもしてくる。それを射止めるのは、用心棒ならぬ、少年剣士なのだから、ここのところは、いかにも中国らしいところだ。彼の地でなら、そういう若くして、傑出したすごいのがいても不思議じゃない感じがする。なにしろ、白髪三千丈の国だもの、何だってありなんだ。中国というと、少林寺拳法のようなものを思い浮かべるが、こういう剣を使った格闘技もあるんだ。剣というと、日本の剣士のように何か神秘的なものを感じてしまうが、力だけで押すのではない技があって、それはこのような子供にでももしかしたらあっても不思議でない何かだ、と言われてしまえば、ただ納得するしかなくなってしまう。そういう雰囲気を発散させて、この映画は西部劇なんかではけっしてなかった。