そよかぜ(1945)
監督 佐々木康
出演 上原謙、佐野周二、斎藤達雄、高倉彰、並木路子、三浦光子


 題名だけ知るまぼろしの映画。こういうのは見ておくに越したことない。案外な拾いもののことがあるからだ。それで、見てみたら、ひどく古くさい映画だった。どうして、こういう映画があるのだろう。例えば、年代だけの古い映画はたくさんあるが、古くさいと思うのはまた別な話だ。簡単に言えば、いい映画は古くさくならない。黒澤明や小津安二郎のものはそうなっていない。映画が必要以上に時代におもねたりすると、後から見ると、滑稽に見えてしまうのだ。この映画はとてつもなく変ではなかったが、テンポといい、出演者といい、気味の悪いほど、陳腐だ。出てくる女性が寸胴だということもある。服装もあか抜けていない。顔も現代的でない。とまあ贅沢を言ってはいけないが、どうもそんなことが目につく。これは避けて通ることは出来ないことであるが、映画自体の力で、そんなマイナスはなくせるはず。きっといい映画はそうなのだろう。
 この映画は後半少し寝てしまったので、内容がつかめない。が、だいたい想像できる。彼女が望んでいた舞台で成功するのだろう、多分。これで「りんごの歌」が出てきた時、紹介される映画「そよかぜ」は見た、と言えることになった。

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