若い人は常に今までにないもの、新しいものに飛びつく。それが親たちにとってはあまりにも“進んだ“ものだから分からないし、理解したくないものだ。実はそうやって、世の中は進歩して来ているのだが、その場にいると、その進歩が重要なものであることが見えないし、ある程度時間がたたないと、見えてこないものなのだ。ロックがまさにそうだ。音楽はそういうものの最前線をゆくものじゃないか、そういうものであることは分かっていても理解されにくい。社会現象の一つとして、音楽だけではなく、それに付随するもろもろの風俗が一変させられるくらい、強い力を持っているものだ。
　「理由なき反抗」には、理由がある。なぜなのかが、説明出来ない若者と、理解してあげられない大人が、対になって存在している。なんだか分からないもやもやした欝屈を彼らなりの方法でぶつけてくるものを、ただ押さえつけることしか出来ないもどかしさ。いわゆる不良たちは、ひとところに集めて、矯正する。テキサスにあるベネディクト少年院はそんな厳格で、保守的なところだった。押さえつけると反発するのが目に見えているのに、そうしてしまう。反発しても、反抗できる余地のないくらい強い力が働いていれば、一見、おだやかに教育が行なわれているように見えるだろう、だが、彼らの内に秘めたものが爆発する日もそう遠いことではないだろう。
　１９５０年代のノスタルジーと青春の痛み、音楽にのせて、少しは泣かせもしよう、というねらいが見えてしまって、残念でした。