監督の自伝的映画。70年代のある夏を描いている。中国というと後衛兵の時代を省くことは出来ない。それは主に反省を含んでいる。つまりいき過ぎた時代、それによる不幸、名誉回復など。
　この映画ではそのころまだ子供だった彼にとっては直接彼に対しての波はかからなかった。カバレリアルスティカーナの流れる中（監督はこの音楽がお気に入りのようすだが、私は合わないと思う）もう一つかっこ書きして（なにしろイタリアの農村が思い浮かべられるため）、あんな感じの音楽を作って付ければ良かった。彼に実際こんな思い出があったのかどうかは知らない。だが、昔の思い出は思いっきり美化されているように見える。又、それはそれでいいと思う。
　映像はきれい、俳優もなかなかよくやっている。当時の雰囲気もよく表れている。だけど何か物足りない。つまるところ、思い出の美化で終わってしまっている、ということ。別れは悲しいものだったろうが、それ以外には小さな傷さえない。引っかかりがない。挫折がない。それでいてハッピーエンドでない。