柳家金語楼が不思議な役をやっている。子供が中村メイ子で、ある町にリヤカーの荷物を持って家族が越してくる。店舗を借りて何でも屋を始める。が、たいした仕事は出来ないようだ。というのは時計を直しに持ってきた時計を本当の時計屋に持ち込んで直してもらったからだ。彼らはきっと商売ではない別の仕事があるのだろう。新参者なのに、町に溶け込もう、あるいは仲良く、あるいは指導しようとでもいうような様子。彼らは率先して朝の掃除をし、明るい町づくりにはげむ。新式の体操を教えたりもする。彼らはいったい何者なのか。なんだかはっきりした目的も、結果も出さないうちに、期日が来たかのように、来たときと同じようにリアカー一台で町を去っていく。あの家族はなんだったのだろう。特別悪い見本のような町でもなかったし、道徳的指導のようなことをした、ということなのか。戦争中だから、きっとそんな意味が含まれているのだろう。でも、そのことをはっきりと示唆するような出来にはなっていない。金語楼が易しく先生になっての授業でも受けた感じ。