「ミスター・マンマ」の後日談のような話。韓国映画は今年のは特にしんどかった。見ていて辛い話が多かった。それが、後半も後半、終わりの二本が笑わせてくれたので救われた。
　このドクターは流行りの歯医者。独身のもてもて男のようだ。ただし、子供あり。母親はどうしたのか、逃げられたのか。死に別れのようだ。かわいそうに。プレイボーイにも悲しい過去があった。ところが、今は独身生活を大いに楽しんでいる。死んだ妻への気兼ねからか、結婚する気はないようだ。独身、金を持っている、しかし、こぶつきだが、甥ということにしている。この天国のような生活を変える気になれないのも分かる。だが、結婚にまでいかないのは、ただ妻への忠誠ととらえるかどうかは、意見の別れるところだ。
　そんな彼のマンションの階下の女性に出会ったのはひどい状況だった。彼女の車にぶつかってしまったのだ。彼は女性にはやさしいはずなのに、どうしたのだろう。彼女が生意気に見えたからか。彼女の職業は作詞家。流行している歌を作っている。そんな仕事だから、見かけが生意気に見えたのだろう。車をつっかけ、彼女にもつっかかった。駐車場が同じだから同じマンションであることはわかっただろうが、まさかすぐ下の部屋だとは思いもよらなかった。気にくわない女性をこらしめてやった、で話は終わるところだが、そうはいかない。彼の子供が一働きも二働きもすることになる。子供の気楽さからか、彼女と知り合い仲良くなる。この子供がませてはいるが、心やさしく、女性にかわいがられるタイプの、つまりプレイボーイの父親ゆずりの性格のなかなかの子供で、彼女に気に入られるようになる。犬猿の仲の二人を仲立ちをすることになる。子供の気持ちとしては、父親と一緒になってくれたら、自分の母親になるわけだから、こんないいことはない。ところが、肝心の二人は喧嘩している。これをくっつけるのは生やさしいことではない。かわいさあまって憎さ百倍というが、これはその前の段階から悪かった。このどうしようもない状態が好転するのだろうか。鍵は子供しかない。無理矢理つき合わされたものの、そこでよけいひどいことになってしまう。旅に出ると本性が出るから、大変なことになる。だが、ここでも子供が活躍する。まあ、話はそうなるように仕組まれているのだから、それを楽しめばいい。かくして、二人は仲直りする。それにしても、韓国にはいい俳優が多い。それも、こういった喜劇的なのにぴったりの男優が。この映画と「ミスター・マンマ」の二人はいい。日本にはこういったタイプの人はいない。伝統なのか、とにかくいいね、いい男で、笑わせるのは難しいのに、よくやっている。