釣りは全くと言っていいほどやったことがないので、あれだけ懸命になってやる気持ちが理解出来ないが、きっと楽しいだろうなというのはわかる。これはどんな趣味にも通じるもので、私が見たことも聞いたこともないことを趣味としている人がいて、その趣味がとてつもなく奇妙なものだったとしても、それは非難すべきことではない。カルトクイズで、まったくかすりもしない題材だと、見ないが、それでもあることについてあんなにも詳しい人がいるんだなあと、感心してしまう。好きなことについては面倒くさくはないのだ。私の映画に対する態度を思い返してみればわかる。
　さて、魚を釣ることが趣味の人にとって、海や川を見ると、その景色のみならず、そこにきっといる魚を思い浮かべて、自分がそれを釣っている姿まで思い浮かべてしまうのに違いないと思う。彼らは全てそういう思考体系の下に頭が働き、あの魚を釣るためにはあの竿で、糸は何号で、えさは、と考えて悦に入っているのだろう。そんな癖がひどくなると、仕事中だろうとなんだろうと、そのことばかり、になってしまう人もいる。この映画の主人公がそういう人間で、いつも釣りのことばかり。そんな彼が近頃は違うことに気がいっている。それは鯉太郎という一人息子だ。子供はかわいいものだ。特に自分の子供は。赤ん坊が可愛くできているのはそれなり理由があると思う。誰が見ても可愛ければそれを傷つけることもなく育てられるでしょう、ある程度まで育てばあとは楽になるから、そうなっているのではないかと愚考している。
　今回の話は赤ちゃんが騒動を巻き起こす原因になって、大人たちがてんやわんやを繰り広げるおはなし。あんな呑気な会社があったら、いいのになあ。

ホームに戻る

インデックスに戻る