ウォレスとグルミット(Wallace & Gromit)1989
監督 ニック・パーク
出演 

 前に初めてこの映画の写真を見た時、へんてこなキャラクターだな、と思った。これは多分見ないだろう、と目星をつけた。だけど、テレビでの紹介や、評判を聞くにつれ、次第に興味がわき、ついに、今日の初日に出かけたのでした。場所はシネ・ラ・セット。雨のそぼ降る中、どうせ空いているだろう、の予想だったのに、あんがい人が入っている。それも子供連れが多い。そうか、これはアニメーションだから子供か、と変な感心をした。例によって最前列に腰掛けた。
 初めは「スレッジハンマー」、おっ、これはMTVか、見たことある。次は「チビのレックス〜恐竜はなぜ絶滅したか〜」と「チビのレックス〜夢〜」、レックスは扁平な恐竜でちゃんとした家に暮らしている。
 お目当てのウォレスとグルミットは三本「チーズ・ホリデー」A GRAND DAY OUT、「快適な生活」CREATURE COMFORTS、「ペンギンに気をつけろ!」THE WRONG TROUSERSで、真中のは動物園の動物が日頃の愚痴や意見を述べるもので、なかなか面白い。表情がいい。本当にあんなことを考えているのかも。月にチーズを見つけに行く話は、「月世界旅行」以来の傑作だと思う。家で作ったロケットでみごと月に行ってしまうのだもの、月にはいたるところにチーズがあり、そのためだけに月に行ってしまうのだから、すごい。目的のためなら手段を選ばす、どころじゃない、とてつもない方法を採る。月があんなだったらいいな。私だったらチーズではないものがいい。そうだな、金、銀、財宝、ダイアモンド? これってイメージ最低。
 ペンギンを擬人化すると、善人の感じなのに、ここでは悪人になっている。ポーカーフェイスっぽいから、表情を読みとれない。だから、彼がいい奴なのか、悪い奴なのか判断出来なかった。宝石泥棒を企てているようだ。そこに我がコンビの登場。二人で一人と対決するのだから、簡単にやっつけられそうなものだが、このペンギンが案外やる、頭がいい。下半身ロボットを操って悪巧みをするなんて、すごい頭脳の持ち主だ。かたや、人間であるウォレスは彼の策略にまんまと乗せられてしまう。ああ、情けない。だけど、途中で気づいて、彼と戦うことになる。
 何しろ、絵がきれい。キャラクターの全てと、話の展開ともに見る者の想像をはるかに超えた映像のマジック。それでいて、親しみやすくかわいいキャラクター、下手な俳優は総退散すべきだ。そうなると、ほとんどの俳優はいなくなってしまいそうだ。また見たい。人形でも売っていたら欲しい。それくらい惚れた。

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