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６月２１日（月）第１３６天 そろそろいよいよ
天気予報で最高気温が34度と言っていたが、湿度が低いせいかあまり暑く感じない。陽射しは強いが汗が出て困るようなことはない。室内に入るとあんがい涼しく感じる。ワンチンは扇風機が嫌いなようだ。気分が悪くなるらしい。それが自然な反応だと思う。扇風機の風は不自然だ。だったらクーラーのほうがいい。
授業の最後の週になって、こころもち出席者が増えた。すでに帰った人もいるが、寮に残っている人をかき集めれば20人は下らないだろう。
A班で、試験の終わった日に送別会をやろうという話が出ている。どこかに行こうという案もあったが、早く帰国してしまう人がいてだめになった。まあ、この話も本決まりではないので、どうなるか分からない。食事会なら一番手軽に出来るしいいんじゃないか。
たぶん二度と会えない人がほとんどだろう。日本人でさえそうだろう。また会えると思っているのがいいのであって、実際会うとなると大変だ。だいたいそうやって、意識しない別れが繰り返されてきた。はっきりともう絶対二度と会うことがない、と分かっていると、悲しい気持ちになるだろう。だがそれも仕方のないことだ。さよならこそが人生だ。
今日はなぜかチンが部屋にいる。この前の金曜日から引っ越すと言ってかたづけていたのに、まだ引っ越さない。今日は木曜日に引っ越すと言っていたが、どうなることやら。
かよのお膳立てがあって、EBトラベルという会社に電話して７月４日の切符を手配した。いよいよ帰国が決まった。ほぼ５ヶ月いたことになる。長いようで短かった。時の流れは一定なのだが、人の感じ方は一定ではない。それが面白い。今は時間にラストスパートがかかってとても早く感じられる。楽しいことこそ早く過ぎてしまう。いやな時は時計の進み方が遅くなる。仕事の時間なんかはその代表的なものだ。考えまいとしてきた仕事だが、日本に帰ったら探さなければならない。いったい僕に仕事があるのだろうか。これが一番の問題だ。なにかあるとは思うのだが、まだ真剣に探したことがないので、どんなのがあるか分からない。インターネットで見てみようかな。まだその気になれないでいる。
夕方カメラを持って出かけた。図書館あたりからD楼、公園などを写した。校内はこんなものかな。その場にいるのと写真で見るのとでは感じ方が違う。どうしても小さな枠内には収まらない。切り取られた風景は別な場所に思える。一見だとどこか分からないくらいだ。一通り終わって、西門を出て、あそこらへんも写しておいた。西門も飽きたので北門に行ってみることにした。途中でバイウー、だいと会った。なんか、僕を誘いに行ったが、出かけていたということだった。うまい具合に会えたわけだ。行った場所は超市の隣の店で、初めて入った。火鍋の店のようだ。だい、バイウー、なな、つも、在日の人、Garrik。蚊がうんうんいて、足をかきながら食べた。鍋はふたつに分かれていて辛いのと普通の味が食べられる。ずっと前にこんなのを食べたなと思った。暑い時に食べるのもいいものだ。バイウーがポン酢を持参していたので、それで食べたら日本の味になった。
その後、703室でさらに話をした。耳なし芳一の話が出て、つもが話したが、それは日本昔話かなにかの話で、まったく違う内容だったので、僕があえて訂正した。この話に平家が出てこなければ意味がない。鬼の話ではないのだ。そのあと、怪談話大会になり、ちょっとすずしくなった。
６月２２日（火）第１３７天 蚊に悩ませられる毎夜
晴れ。日本は台風一過の晴天だそうだ。上海もそのおすそわけで天気がよい。天気予報では35度と言っていたが、それほど暑くなったとは思えない。
昨日の夜は蚊が思い切りたくさんいて何回も起こされた。今日はどうだろう。昨日は遅く帰ったので、退治する時間があまりなかったまま寝たからだと思うが、今日はいままで退治してはいるが、まだいそうだ。起きている間は退治しまくらなくちゃ。それでもどこからか入ってくる。たぶん、ドアの下の隙間からだと思う。小さいくせに刺されるとかゆい。あとが残らないからいいのだが。こんなに蚊に悩まされるとは思ってもみなかった。今度来る時には蚊取線香を持ってこよう。
明日が最後の授業だ。一日も休まなかった。A班では僕だけだろう。休む必要がなかったし、休んだらもったいない。せっかく来ているのだから。
６月２３日（水）第１３８天 帰りのチケット入手
あと一日残っているが、これでほぼ終わったようなもの。僕は出席に関しては優等生だが、実力が伴っていない。若い人と違って、記憶力も低下してるし、などといいわけがましい？
帰りのチケットが手に入った。１時半ころに持って来た。1650＋34＝1684元。はじめに聞いていた値段よりずいぶん安かったので、現金が千元以上残ってしまった。使い切る必要はないが、買い物の資金としては潤沢だ。荷物をバッグに詰めてみて、隙間を確認して、それから考えよう、どのくらいのものが買えるかを。
今日は大学の卒業式があったようだ。ガウンを着て帽子をかぶった人がたくさんいて、記念写真を撮るために並んでいた。彼らの意気盛んなようすに嫉妬すら覚えた。彼らにある若さと未来とに対して。
昨日は珍しくチンが部屋で寝た。今日の朝も前のように一緒に食べて、教室まで歩いていった。最後だからそうしたのだろう。彼にもこんな意外な部分がある。僕はそういうことはどうでもいい。気持ちの奥ではあるのだが、行動では関係ないと強がってみせるところがある。その気持ちが前に出てしまう。だがら、どうでもいい、という態度になってしまう。
それにしても引越しはいつだ。引っ越してゲリックと一緒に住むと言っている。しっかり計算してるなあ。彼と暮らせば、話すには中国語を使わざるを得ない。これはチンにとって願ったり叶ったりだ。こんないい条件の相手はいない。純粋な中国人を探すのは難しいし、他の問題もある。ゲリックはタイ人で、英語も中国語も出来る。うまくいけば中国語だけでなく、課題の英語もマスターできるようになるかもしれない。と、そこまで計算高くしたかどうかは分からないが、外的条件はそうなる。ここにさらに長くいるのだから、今のように懸命に勉強を続けていけば中国語はほぼ完璧になるだろう。問題は別なところにある。だが、それは性格の問題だから、直しようがない。また、たぶん貿易の仕事を始めようというのだろうが、言葉が話せるからといって仕事も順調にいくかどうかは別の話だ。しっかりより、ちゃっかりしている性格が良い方向に働けば成功もありうる。僕が心配しても始まらないが、成功を祈ろう。
窓を閉めてクーラーをつけて、涼しくなったら切ってそのままにしておく。また暑くなったらつける。これでほぼ気持ちよく過ごせる。涼しいと蚊の動きも鈍くなるように思う。昨日は起きることもなく眠れた。夜に何回も起きるのはつらい。
６月２４日（木）第１３９天 夕立ち
今４時23分、夕立だ。外がかなり暗くなって、雷が鳴っている。ただし、突然そうなったわけではなく、ずっとくもりだったし、その雲の上に更に夕立の雲が立ち現れたような具合か。雲が厚いのか雷の音が相当長く尾を引いている。でも雨たいしたことない。もっとざーっと降らないものかな。思い切りの足りない夕立だ。まだ夕方でもないし。このまま雨だったら出かけるの面倒だから食堂で食べる。そうなると三食食堂という最近では珍しいことになる。相変わらず美味しくない。工夫のない食事だ。なんとかしようという意欲が見られない。
今日は午後からチンが来て、引越し荷物をまとめているが、これがなかなか終わらない。引越しするなら早くしろ。今日も引越しはないのだろうか。かたづけは素早く、引越しも素早くやってほしい。だらだらといつまで掛かっているんだ。この分じゃ今日はなさそうだ。
空がぴかぴか光っているが、まだ暗くないので目立たない。雷というと子供の頃を思い出す。ずいぶん怖かった。最近はあんなに恐ろしい思いをすることはない。夕立で雨があったので、すずしくなってきた。もっと降ってくれないかな。雷ももっと鳴ってほしい。遠雷という感じだ。静かになってきた。「田園」の嵐のあとのようだ。嵐の描写ではベートーベンとウィリアム・テルが双璧だ。だが空気までは音楽には出来ない。急速な雲の発達があって、雨になる。雷が鳴る。人が逃げまどう、しかしそれは短い時間で終わり、人々はまた元の仕事にかえる。今日の上海の夕立は夕立らしくない夕立だが、まだ夏になり切れていないせいもあるだろう。
明日は買物に行くつもり。何を買おうか、どこで買おうか迷う。天気はどうだろう。雨にならなければいいが。買物の場所も決めておかなくちゃ。決めておいてもあれこれ迷うのだ。一つのところで全部揃うといいのに。友誼商店はあるが、あそこはああいうとろこにしては品揃えが少なすぎる。上海にはひとつしかないらしいし。そこへいくと北京はたくさんあった。北京に行ってみようかと思うばかりだ。ああ、行きたくなってしまった。
西門に行くつもりで歩いていたらちょうど、だいが自転車で図書館から帰ってきた。一緒に食事に行くことにした。西門のショウロンポウの店に入った。麻拉湯もたのんだ。この方式のを日本でやればはやるかもしれない。
６月２５日（金）第１４０天 最後上課
休みをはさんだ最後の授業、听力、しかも雨、と条件が悪い。８時にいってみれば、あんのじょういるのはシリア人のレダだけだ。たった二人は少なすぎる。そのあとだい、チン、ヘレンが来て、どうにか形になった。今日は映画「花木蘭」を見た。「ムーラン」は前に見ている。ディズニー産のあまり印象としては良くなかった。今日は中国で見ているので、また別な感慨もあった。中国には特に上海にはもっと面白いアニメーションがあるのに老師は知らないのだろうか。老師といえども若いから知らないのではないだろうか。
買物に行く予定をしていたが雨なのでよして部屋で勉強をした。だが、はっきりこれをやって、というのがないので、だらけ気味だ。まあ結果如何にかかわらずなにか終了書のたぐいの証明書はくれるだろう。成績優秀でもないし、思ったより出来ないので、意気消沈している。
昼はyuanと北門の国慶で食べた。あの店はみんなでよく行ったが、一人で入ったことはない。チャーハンと春巻きとにら炒めをたのんだ。昨日はだいで、今日はyuanとで、決めていてわけでないのに、そんな具合になったのも何かの縁か。彼は大学は変わらないそうだ。夏休みは日本には帰らず旅行をするという。HSKまた受けるのかな。それにしてもあれだけ話せるってどんな感じなのだろう。彼くらい流暢に話せるようになりたい。彼に勝てるのは英語くらいなものだが、その英語もたいしたことはない。
チンは引越しを月末にしたようで、したがってずっと部屋にいるみたい。これが通常の状態だから別に文句を言うことは出来ない。だが、これまでほとんど一人部屋だったので、いつも誰かがいるのははっきり言って邪魔くさい。彼はクーラーが苦手だと知った！！ 僕が扇風機が苦手で、そうかこんどからクーラーがんがんかけようっと。クーラーだと空気が乾燥するのがいやなのだろう、たぶん。こういうこともいつも一緒にいなかったから分からなかったことだ。
６月２６日（土）第１４１天 焼肉をおおいに食べる
今１時半。これからyuanと出かける。街に出て焼肉を食べることになっている。まきさんが来るのは聞いたが、他に誰がくるか知らない。２時に出かけて、６時までどこかで時間をつぶす。
676-Bに乗った。きょうは空調が効いていて涼しすぎるくらいだ。なぜか道が混んでいて一時間以上かかった。人民广場に出て、デパートのワトソンに寄って、そのあと外文に行くことにして歩き出したら途中に古本の店（開店したばかりで、情報はインターネットで知っていた）に入った。古本といっても全ての種類があるわけではなく、美術系のものが多い。二階は歴史や人物、三階は書や絵画を売っていた。ここはなかなか見るべきものが揃っているように思う。外文へも行って辞書などを見た。待ち合わせは新天地の前のユニクロなので、新天地へ行って休憩。コーヒーと紅茶を飲むが、これがまずい。32元もとってこんな商売していたらそのうちつぶれるよ。少なくとも僕とyuanは二度と行かない。６時にユニクロに行ってみれば、待っていたのはまきさん、ツゥンソン、谷田部さんの三人だった。少し先のビルの５階に店はあった。店内は日本語の対応だったが、焼肉等は完全に韓国の味だった。日本にある高級焼肉店という感じだ。78元の食べ放題だ。みんなが腹をすかせた大食いなので、食は進んだ。どれだけたのんだだろうか。メニュー通りの値段で計算したら相当いっていたと思う。そこが食べ放題のいいところだ。
食後はスターバックスでコーヒーを飲みつつお話。11時過ぎまでいた。僕とツゥンソンと谷田部さんが帰国だ。谷田部さんは船で帰るそうだ。大阪まで船で行って、そこからバスで群馬まで帰るそうだ。時間をかけるといかにも遠路帰ってきたと思うだろう。ツゥンソンは旅行をしてから帰るそうだ。彼女はなかなかの行動派のようで、一人旅も辞さない。大きな荷物を持っての旅は大変だろうな。同屋のいびきに悩まされたと言っていた。人は見かけによらないものだ。そこを行くと我がチンはおとなしいものだ。あまり自分ばかり被害者のように思うのはよそう。彼女の話を聞いてそう思った。チンからすれば僕のことを神経質な人と思っているかもしれないし、どちらにしろ完全に気があうことはないのだから。谷田部さんのスポーツウーマン振りや（そういえば卓球大会で優勝したのだった）まきさんが今はボーイフレンドがいないことなどを聞けて楽しかった。やはり話すことはいいことだ。
タクシーに５人乗って帰った。58元。もう会わないまま別れてしまう人もいるかもしれない。
６月２７日（日）第１４２天 買い物
朝、食事に行こうとしたとき、テレビでヒッチコックを紹介する番組をやっていた。PEOPLEとかいう番組で、興味ある人のときは見るようにしている。英語を聞きながら中国語字幕を読む、というのは英語だけ聞くより分かり易い。ヒッチ自身の昔のインタビューもあるが、俳優や映画評論家が出てきて話す。俳優の名前の英語を見逃すと、あとは漢字で出るので分かりにくい、というか分からない。外国人の名前の中国語訳は一目では分からないし、よく見ても分からない。じっくり見てようやく分かるかどうかといったところだ。 
今日は買物に出かけた。いつものエアコンなしバスに乗っていった。上海駅で帰りのリムジンバス乗場を探したが見つからなかった。あるのは普通のバス乗場だけだ。たぶん別な場所にあるとは思うのだが。乗り換えの面倒くささを考えると、ここからタクシーで行くのが確実かなと思う。200元近くかかってしまうのは仕方ない。上海駅の前に出来たデパートをのぞいてみたが、太平洋と変わり映えしないようすだった。人民广場に出てまず古本をのぞいて外文に行き写真集その他を買い、上海書城でDVDを買った。プレーヤーを持っていないこともあり、持って帰っても見られないことは分かっていたのだが、安いものだし、ためしに買ってみた。
今日も本屋には人がたくさんいて、いつもの日曜日の様相だった。ここに来るのもたぶん今日が最後になるかなあと思うと寂しくなる。上海駅に戻って太平洋百貨店の地下の店で酒、茶、菓子などを買った。これでほぼ買物は終わりだ。今日は帰りのバスを間違えないように乗った。４時ごろ帰った。部屋にいるとバイウーがきて食事に誘われた。国慶に行ったのは、バイウー、なな、つも、だい、りさ。おなじみ料理をあれこれとたのんだ。
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