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３月８日（月）第２９天 チンも勉強している
授業が終わって、いつものメンバーで（僕、だい、ナイナイ、バイウー）昼飯を食べた。場所は西門を出たピザ屋だ。PIZA HUTという文字のHUTが小さく書いてある。PIZA
HUTがこんな田舎にあるわけがない。こんなところ、いかにも中国らしい。たまには中国料理以外のを食べたくなってきたのだ。この店ではピザとスパゲティのようなものを出す。僕はスパゲティをたのんだ。他の人はピザとドリアだった。値段はスパゲティが１６元、ピザは２８元、コーラは３元だ。こういう食べ物はどうしても高い。店のおじさんがさかんに話しかけてくる。あまり客も多くなさそうなので、暇なのだろう。また、宣伝してくれとでも言いたいのだろう。
ずいぶんサービスのいい店だった。今までの中国式サービスでは良くないことが中国人自身に分かってきたらしい。これは相当な進歩と言える。ただ、なんでもかんでも一律のサービスでは中身のないものになってしまう。表面上の形だけのサービスならいらない。こういう新しいレストランだから、今までのものを改めたのだろう。そこに気づいたのは偉い。たぶん、マックなどの影響が大きいと思う。
さて、僕は今勉強をしたい。いくらやってもやりすぎにはならない。だけど、昼を食べたりしていると、それで時間が経ってしまう、特に外に食事に出たりすると。今の時間は３時過ぎだ。これで２時間のマイナスだ。２時間勉強できる時間の損失だ。まあそこまできついことは言わないにしても、一応自分で決めた時間には勉強をしたい。そうは思うのだが、自分ひとりだけ食堂っていうのもつまらないし、付き合いも大事だ。
留学生の中には自分の殻に閉じこもっている人がいるようだが、それはそれで偉いと思う。そういう性格なのか、または日本人と付きあっていると勉強がはかどらないと思っているからなのか。たぶん性格だと思う。外交的な人が無理して内向的になることは難しい、その逆は可能だが。僕はどちらかと言うと内向的な性格だと思うが、閉じこもることは出来ない。出来ればみんなと楽しく過ごしたい。ただ、ここでは年齢的なことから自然な付き合いがしにくい。早い話、同年代ではないので、話が合わないのだ。共通項が少ないから話が広がらない。でも、偉そうに言わせてもらえば、若い連中自体に話題は少ない。人生経験が少ないからだ。僕は年齢を重ねているだけで、たいした経験はないが、それでも年相応いろいろなことがあった。それをどういう形にせよ話すことが出来たらいいと思う。
今、珍しくチンが部屋にいる。この部屋はほとんど僕の一人部屋化している。彼は夜寝るのは別な部屋だし、昼間もいないことが多く、夜もシャワーにだけ帰ってくる。僕としては彼がどういう生活をしようとかまわないし、かえって一人の方が気が楽だ。今はチンは彼の友人に勉強を教えてもらっている。HSKを受けるための勉強だ。いつも部屋にいないのに勉強だけはしっかりとやってきていることを不思議に思っている。この部屋にいる時間はたいてい勉強している。別の部屋にいる時も勉強をしているのだろう。韓国人は助け合っている。さて僕も勉強をしなければならない。日差しがやさしく射している。風もやんであたたかな日和になった。
熱いお湯を取りに行った。熱湯が蛇口から出る。このポットは大きいのでたくさん入る。持っ て来たお湯でお茶を飲んだ。明日の朝どのくらい温度が下がっているか。一日くらい温度が保つといいのだが。
今、夜の１０時だが珍しくチンがいて勉強している。友人も来ていてかなり熱心に教えてもらっている。
HSKを受けようかなと思っているのだが、どんな内容なのかも、どこでいつやるのかも知らない。受ける気がまったくなかったから情報がないのだ。試験だがら試験用の勉強が必要だ。いい本があったら見つけて、それで勉強したい。でも、僕に受かる級があるのだろうか。
３月９日（火）第３０天 ヤン老師がどうかなっちゃった
ここに来てちょうど一ヶ月経った。早い感じもするし、長かった気もする。ただ肝心の中国語についてははっきりと目に見える上達はないので、不安な気持ち半分と、今は基礎固めの時期だという認識でいるのでそう心配はしていない。不満を言えば、授業の進み具合が遅いことだ。２０人もいるクラスだから自分の進捗に合わないのは仕方ないことだ。クラスはA班でいいのだが、もっと進めて欲しい。発音は自分で言うのもなんだが、進歩したと思う。まだしっかりとは固まっていないが、音の違いは聞き分けられるようになった。
クラスの中の漢字を使ったことのない国の人は大変だなあと思う。その点、日本人は始めからポールポジションをとっているようなものだ。だがそこが弱点にもなりうる。文字を見ただけでなんとなく分かってしまうからだ。きちんと調べもしないで分かった気になってしまうことがある。
学問に王道はないという。語学もそうだ。一番いい方法という、その国に行って勉強することでも、のんべんだらりとしていたのでは発展はない。とまあ、こんなことをいくら書いてみても、中国語の勉強には何の足しにもならない。
ちょっと方向を変えて上海の気候について書こう。東京とあまり変わらないように思う。緯度ではずっと南にあるのだが、むしろ冬は少し寒い。大陸性気候なのだろうが、内陸ではないので、黒潮の影響が大きいのだろう、たぶん。このあたりの知識は少ないので、適当に書いてます。２月始めに来たころは寒くなく、天気も良く、むしろ２０度を越えることもあった。その後、天気が悪くなった時期があり、また回復して今日に至っている。ここのところずっと天気はいい。気温は５度から１５度くらいか。風が吹くと寒いが、なければ暖かい。風の吹く日が多い。砂漠から離れているので黄砂はたぶんないだろう。でも、日本にまで飛んでくることもあるからまったくないわけではない。今日も天気は良く、温かだ。
午後の授業がなぜかなくなって（ヤン老師の反乱）あたたかい天気の中どうしようかな、ということでいつもの４人で公園を散歩することにした。公園といっても、校内の池のあたりで、鳥と魚の餌を売っていたので、それを買った。池の中にはたくさんの鯉がいて、特にみんなが餌をやるあたりにはすごい数の鯉の群れ があった。中には大きなのもいるし、なかなかたいしたものだ。鳥は鳩がいくらか飛んで来ていたのだが、餌をちらつかせてもあまり近寄ってこない。人間をちょっと警戒しているようすだ。浅草の鳩のような具合にはいかない。鳩の種類が違うのか、あるいは栄養がいいのか、大きくて太り気味だ。池には白鳥もいて、他の水鳥もいた。芝生の上に寝転がって尻取り絵書きをした。この芝生あたりはきれいでとてもいいところだ。また来よう。
妻から電話があって、５月の連休に来たいと言っていた。僕はその時もいいけど、その前の３月の終わり頃の安い時にツアーで一度来てみるのがいいのではないかと言っておいた。そのあと、５月にはフリーで来ればいい。５月には蘇州でも抗州でもいいから上海とは別なところに行くという計画、いいでしょ。ただ、こちらも連休なのでホテルがとれるかどうかが問題だ。ホテルはネットで取れたとしても、列車の切符をとるのが難題だ。それほど遠いところでもないから、なんとかなるとは思う。バスっていう手もあるし。とにかく３月、５月の旅行が実現するのを楽しみにしている。まあ、別にこちらの友人ともどこかに行ってみたいな、という希望もあるが、この実現は難しそうだ。みんなは夏休みに旅行するつもりだろうからだ。僕もずっといて、夏休みに大いなる大旅行をしてみたいものだ。と無理な希望を言う僕でした。
３月１０日（水）第３１天 羊肉焼肉は煙もうもうで香辛料たっぷりで腹いっぱい
今日は暖かいを超えて暑いくらいの気温だ。２３度とみた。天気も良く、日向ぼっこをしたら日に焼けることだろう。僕は色白の肌を焼くのはやめて、室内に退避。
勉強をしたが、同時にインターネットも見たりするので勉強にとられる時間は半分かな。それならスイッチを切っておけばいいとお思いでしょうが、さにあらず。コンピューターの中国語ソフトで辞書を見る必要があるため、勉強の時はつけている。その際に辞書を見続けているわけでないので別なとこも見てしまうことになる。ことになるっていってもしなければいいのだが、そこは自制心のない僕のこと、見てしまう。
４時半にお湯を取りにゆき、部屋に戻ってきたら、バイウーとつもが来て飯食べに行こうと誘ってきた。たぶんバイウーが言い出したことだろう。彼はなかなか気が利く。どこに行くのかと思ったら西門を出たところの店で、この前行ったピザ屋の二階の焼肉屋、焼肉といっても韓国風ではなく、あくまでもこちら風。牛肉がなく、羊肉が主で、鶏肉、鍋というところ。三人で４０本以上食べたかな、辛い鍋も一つたのみ、ビール三本、これで３０元ちょっとだった。いちいち日本円に直してしまうとその差に驚く限りだが、こちらの人の収入から推し量ると、別に特別安いわけではない。それより日本の値段が高すぎるんじゃないの。
味付けについて一言、焼肉の味付けは香辛料たっぷりで塩辛い。肉が羊なので、その臭さを紛らわすためもあるのだろうが、濃すぎる。塩だけ付けて焼いてくれとたのんだくらいで、そうしたら焼き鳥に似ておいしかった。それを見て中国人は物足りなさを感じると思う。それはこと焼肉だけではない。その他の全ての料理の味付けについて、あるいはご飯なり、麺類についても言えることだが、日本に来た中国料理は全て日本化されている。あるいは日本人に合わないと判断されれば、日本に紹介されることはない。そのままのオリジナルな形で別の国で食べられることは皆無と言っても差し支えない、こう断言してもいいかな。
突然外から大きな音が聞こえてきた。あの音はたぶん爆竹だ。本物の爆竹の音を聞くのは初めてだ。あんなに大きな音なら禁止されるのも分かる。大量の爆竹が終わったと思ったら今度は打ち上げ花火だ。打ち上げといっても下で爆発させて上がった花火が上空で再び爆発する。花火の燃える様を見るということではなく、あくまでも大きな音を発っせさせるのが目的のようだ。爆竹の延長線上の打ち上げ花火だ。これも何十本、いや百本以上上げたのではないか。次第にいちいち下に置いて打ち上げるのが面倒になったようで、手に持って火をつけるしまつ。燃えかすがたくさん下にたまっていく。階下にも落ちている。開店祝いだから景気良くするほど良いというのだろう。これだけある店の全てがきっと開店時に同じことを繰り返すのだろう。花火はその見た目の美しさを鑑賞するものだという、花火に対する今までの意識が変わってしまいそうだ。同じものでも使い方が異なるということかな。
再び勉強のことだけど、テレビも消していて、チンがいる時、どのくらいの声を出していいものか、これは微妙な問題だ。少しくらいの声を出すことはするけれど、やはり一人でいる時とそうでない時は変えざるを得ない。それは全ての行動にかかわってくる。二人部屋なのだから、自分勝手は出来ない。始めからそうだったし、それは覚悟していたから苦痛ではない。また、この部屋の場合チンはいないことが多いので、楽な一人の時間をとれることがあることも幸いしている。これで自分勝手な人が同屋だったら大変だ。その点良かった。そういう良くない相手とのあれこれを聞くにつけ、ああ良かったと思う。ただ、これからどうなるか分からないが、たぶん大丈夫だろう、と希望的観測を述べておく。
昨日はお湯があったので、たくさん飲んで何回もトイレに行ってしまった。液体を飲むのは９時までということにしよう。子どもみたいだけど、そうしないと夜中に起き出すのはいやだから。
３月１１日（木）第３２天 決算
火曜日と木曜日の始まりが遅いので起きるのは７時半、８時ころに食べに行って、戻ってきてテレビを見たり、勉強したりする。テレビをただひたすら見ると（同時に音声を聞く、当たり前）、次第に言葉が分かってきそうなものだが、そうはいかない。あらためて言葉がコミュニケーションの道具であることを痛感する。なぜなら放送は一方的な情報の流れだからだ。いったいどんな内容のことをどのように伝えるかは全て向こう側にかかっている。こちらの入る余地はない。これならそこらへんの子どもと話した方がよほど勉強になる。ところがそういうことをしないし、中国人との交流もない、これでは上達は期待できない。
天気が曇っていて寒い。１０度くらいはありそうなのだが、なにしろ昨日との差が大きくて寒さが身にしみる。お湯をもらいにいくのも面倒だ。昨日のでいいか。どうせあまり飲まないし、ぬるま湯でいい。
授業の勉強以外のテキストで勉強をやりたい。ここが日本ならいくらでも見つけられるが、こっちにはあるだろうか。日本語のものはないだろうから、中国語でいいから、今の僕のレベルにあったテキストが欲しい。大きな書店に行ったら見つかると思う。どこにあるのか大きな本屋。観光ガイドには書いてない。
今日は１０日ごとの自分で決めた決算の日だ。今日これから使うかもしれないので、お金を数えるのは夜にしよう。いままでで一番使っていないと思う。買物をほとんどしなかったからだ。本当に節約しようとすれば、１０日で一元も要らない、食堂の食事を除けば。食堂も１５０元で済むし、それだとかなり残る。でもそうもいかない。買物はともかく、別なところに食べにいくことは多いし、外出もしたい。たまには小旅行もしてみたいと思うし、一応持ってきているお金はあまり残らないことになるかな。また旅行に使ったりするとかなりの額が必要だ。
さっき清算したら３１６．７元しか使ってなかった。このままでいくとかなり残ってしまう。まだ帰りの飛行機代、寮費を払っていないから全てを使うわけにはいかないが、余裕はある。だが油断をするとすぐに無くなってしまいそうな金額でもある。
妻が来るとき服を持ってきてもらって、こちらでは買わないでいいようにすれば、大きな買物はなくなる。セーターや厚い服は持っていってもらう。大きな旅行用バッグがないので、荷物はどうしよう。別に大きなのを買うか。旅行用としては今あるのは小さすぎる。ヨーロッパにでも行く時に必要になるはずだし。
そういえば中国はユーラシア大陸の一部だ。ヨーロッパと地続きだ。一番東はじから左はじを憧れている僕です。やる気と体力があれば、歩いてヨーロッパに行くことができる。あるいはシベリア鉄道を使って行けないこともない。こう考えると楽しくなる。
３月１２日（金）第３３天 徐家フイはきれいな街
金曜日の午後はうきうき気分になる人が多いとみえて、どこかに出かけようという話になった。今日は買物をしたいというので、例のにせもの市場のあるところに行った。メンバーはいつもの三人プラスつもだ。彼がいると言葉の点で大安心できる。というぼくらA班グループも値段の交渉くらいはできるようになって、さかんに値切っていた。僕も何か買うつもりでいたのだが、買わなかった。あそこのはどうしても手が出ない。
そのあと、徐家フイに行った。地下に店が並んでいて、ほとんどが女性物だった。男物もあったし、あんがい僕に合うようなのもあった。今日は買わなかったが今度一人で行って買おう。ここでナイナイが携帯電話を掏られた。落としたのかもしれないが、衆目の一致するところ、掏られたのだろうという結論になった。高価なものなので狙われたのだ。なにしろ２８００元だもの。また中国の携帯はプリペイドで、電話番号はあとからいくらでも変えることができる。日本の場合、盗んでもあまり使えない。
この近くのデパートの食堂街のベトナム料理店で食事。ここが思っていたより高級で高い。そのため恐る恐るたのんだ。いったいいくらになるのって感じで、いろいろとはたのめない。それで出てきた食べ物はおいしいのだが、辛くもなく、物足りない味だとう評判だった。まあベトナム料理はあんなものでしょう。中国の濃い味に慣れた舌には物足りなく感じるのは仕方ない。お上品すぎる。
徐家フイは今まで見てきた上海のどこよりも洗練された場所に思えた。デパートも大きく超高級な店が入っている。ここで買える人は相当な金持ちだ。料理も高いけど安心して食べられる。
そのあとハーゲンダッツでアイスを食べた。２５元、高い。バイウーは５２元のダブルをたのんだ。高いだけあって、席に座るとレモン入りの水が出された。高級なベトナム料理より高かった。高いなりのサービスがあったということだ。バスに乗り帰った。１０時近くになってしまった。
３月１３日（土）第３４天 チンの気まぐれ
一昨日あたり僕がインターネットで上海の地図を見てたら、チンが豫園に一緒に行こう、と言い出した。地図を見てあそこがどうのこうのと言って、じゃあ今週の土曜日に行こう、となった。ただ不安なのは二人で行ってもその間、話がないことだ。話すことはあっても話せない。これが一日続くのは辛い。
今朝、いつものように朝帰りの彼が、今天ニー做什マ？ と聞いてきた。そらきた、と思ったが、そのあと、yuanとバイウーを誘う、と言い出した。それならなんとかなりそうだ。それじゃあ、韓国の朋友を誘ったらと言ったら、没有と言った。ナイナイも来るといい、などと言い出す始末。そんな急に今日は無理だ。そのうち、今日は部屋にいて休憩すると言い出した。いったいなんなのだ。どれだけ相互の話の食い違いがあるか、またはただ彼の気まぐれなのか、僕には判断がつきかねる。その後、僕だけ食べに行って帰ってきたら、彼はいない。彼の気まぐれにつき合わされた、こんな具合の朝でした。さて、それなら僕も今日は自由な時間を持てたわけで、どうしようかな。
勉強をしていたらいつの間にか１２時を過ぎていた。近くの店でパンでも買ってこようか。パンと言えば、まともなパンがなくて困る。僕が食べたいのはごく普通のパンでいいのに、それがない。パンは食べない習慣なのか。ケーキも大きくて甘いだけだし。特にフランスパンが食べたい。昨日行ったデパートでならあるかな。あそこになければもはやどこにもないと言い切れる。
下に行ったら、ナイナイ、だい、つも、yuanがいて、何か話していた。聞くと、ナイナイの手続きのことだった。なにかコンピューターで登録するのにどうのこうの、それをどうしたらいいか分からないらしかった。それを知っている人がいなく、ようするに責任者がいないのだ。書類上はちゃんとしなくてはいけないが、実際上は適当な中国方式がここにもあった。それで結局、今日しなければならないと言われたことが、来週に伸びてしまったということだ。
昼飯はバイウー、ナイナイ、僕の三人で西門を出たところにカレーを食べにいった。カレーを食べるのは久しぶりだ。カツカレーはカツが薄いのを除けば、日本で食べるものと同じだった。１２．９元。この店も何か日本を意識していて、「いらっしゃいませ」で迎えられる。メニューにもひらがなが使われていた。だが、日本人以外には変な文字が書いてあるだけで、意味不明だろうに。日本人がたくさんいるのならともかく、何のねらいがあるのだ、分からない。
夜食を食べにいった。食べていたら韓国人が来た。２８歳のバイウーの同屋だ。２週間ぶりに帰ってき た。バイウーが彼の帰る日を首を長くして待っていた。帰ってくると一人でいる自由がなくなるので、つまらない。が、彼がいると面白い。そこが悩むところなのだろう、たぶん。一人だと気分が楽なのは確かだ。僕は経験してるから知っている。それにしても、はやく中国語を話せるようになりたい。その思いが勉強を後押しする。
銭湯に行く人もいる。学生の寮には風呂がないのだろう、浴室という建物がある。内部はどうなっているのだろう。集団で風呂に入る習慣はないと思うから、どう入るのか分からない。でも、映画ではお湯に浸かっていたな、たしか。温かい湯に浸かるのは気持ちの良いことは共通のはずだ。
この部屋にもバスタブは付いている。お湯をためて入ったことは２回しかない。内部が薄汚れているからだ。チンが汚すのだ。きれいに使ってくれればいいのに。顔を洗うのも水をざーざーと出して水を思い切りとばしているし、僕が親だったら怒っているところだ。甘やかされて育てられたようすがありありだ。女性の部屋に入りびたりだし。昼間はともかく夜はどこで寝ているのだろう。韓国語が分かれば彼の親に言いつけてやるのに。今もいない。
 ３月１４日（日）第３５天 周庄旅游
朝８時、下に行ったらだいがいて今日、周庄に行くという。それなら僕も寄せて、と急遽行くことにし た。バイウーとつも、僕の四人で出かけた。まずバス、地下鉄で上海体育館に行った。ここから遠距離バスが出ているのだ。つまりここは新宿西口のような場所で、駅に着いてちょっと探してしまったが、競技場に隣接したところにあった。切符売り場の中にはいろいろなところに行く案内が書かれてあった。今日の目的地へは一日観光バスが出ていて、それに乗ることになった。本当は観光バスでなく行くつもりだったのが、時間的にちょうどいいのでそうしたのだ。出発は１０時５５分だ。周庄旅游套票は１２８元だ。
バスは１１時出発。朝の内はくもり空だったのが、次第に良くなり晴れてきた。１時間ちょっとで着いた。その間ずっと案 内の女性が話していた。そのほとんどが分からなかったが、彼女の話し振りははきはきとしていて好感が持てた。きれいな中国語だな、と思った。
ここは完全な観光地で、入場口がある。そこから入ると別世界だ。お昼だったので、さっそく食事。ここの名物であるという万蹄胖をたのんだ。豚のもも肉を骨ごと煮込んだもので、肉がとても柔らかい。おいしいが、脂身もたっぷり。ここから目的のところまで歩いて５分くらい。
昔どうしてここにこういう場所が出現したのだろう。雰囲気としては街中にもこんなところはいくらでもあって、今まで残っているのが、こういう観光地になっているのだと思う。東京だって、江戸時代に戻ればそのまま観光地となりうる。今は神社仏閣とか風光明媚な場所だけが残っているようなものだ。
今日は日曜日だけあって、大変な数の観光客だ。中国人が多い。中国人にとってもここはなつかしい風景なのだろう。ただ観光地ではあるが、いまだこの中に住んでいる人がいる。そんなところは日光江戸村とは違うところだ。住んでいるといっても、観光地の店の営業で食べているのだろうし、普通の生活がここでなされているわけではない。むしろ、本当の自然の生活だったら、これだけの観光客が押し寄せたらいい迷惑だ。必然的に観光で食っていくしかない。だからたまたま道を外れ、はじっこの方までさまようと観光地だけど、普通の生活が垣間見られそうな空間がある。工事なんかしている。だが、ちょっと戻るとまた人の波だ。
運河には観光用の船がゆく。僕たちも乗った。一艘８０元だった。８人乗りのところ４人しか乗らなかったので、ゆうゆうと座れた。下から見る風景はなかなか風情のあるものだった。水のある景色は美しい。提灯もかかっていて、夜になったらもっと美しいことだろう。途中、怪楼というのがあって、面白そうなので入った。２０元したが、単純に楽しめた。子どもにはおすすめだ。僕たちも子どもみたいなものだからちょうど良かったかも。作られた観光地ではあるが、元来のものもかなり残っているし、これはこれでいいと思う。
帰りは４時半にバスに集合で、帰りには僕の隣にいた人が来なかったが、どうしたのだろう。バスは発車してすぐに絹織物の店に連れて行かれて、ファッションショーを見せられ、その後買物という段取りだ。一日観光バスでもこういうのがあるのか、と思ったが、文句を言う人もなく、無事に５時半に出発して、一時間で帰りついた。
このスタジアムのそばには食堂がなさそうなので、漢中路で食べた。焼肉だったが、注文してから来るまでが遅くて遅くて、僕たち忘れられたのかな。だいは大いに怒っていた。６０本の串を食べて、餃子、焼きそばなどを平らげた。全部で７９元だった。あれだけ食べてこれだからまた食べてしまうことになる。帰りはいつものバスの乗った。このバスはいつも混む。空いていたためしがない。丸一日の観光はちょっと疲れたけど、楽しかった。
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